グランプリ受賞者
杉原 萌
(神奈川県)
肖像 この度は、あきた全国舞踊祭モダンダンスコンクールという歴史あるコンクールで、身に余る賞を頂き、ありがとうございました。 大変嬉しく光栄に思っております。

 この作品は、今の社会の中で起きている不安な出来事、災害や人災、そして人の人生に突然降り掛かる予期せぬ出来事。その事に潰されながらも次へと歩き出す人の生きる力を表現したいと考え始めました。

 先ず何が潰れるほどの苦しみかを考え、もし自分なら踊る事がなくなってしまう事だと思いました。そして題材として、画家なら、小説家なら、と様々な例をあげてみました。そこから音楽家ならと題材を絞り、聴覚を失う、演奏技術を失くすなどの困難に耳への労りや涙、音楽を愛していた頃の表現は音符を描く動作としました。

 愛の夢の流れる中、ト音記号を描きながら始まり、徐々に、そして突然訪れる不幸を不規則なノイズ、けれどそれでも描かずにいられない旋律と流れ始めるメロディー。この先も戻る訳ではないけれど、葛藤の先に受け入れる事で穏やかに何かが晴れていく事を耳の前からスカートを落とす事で表現しようとした作品です。

 自分の人生経験や舞踊に対する未熟な技術では表しきれない内容だと、向き合えば向き合うほど後悔しましたが、今回身に余る賞を頂き、ほんの少しだけでも、たとえそれが苦しみだけでも、伝える事ができたかもしれないと思う事ができました。

 題材や作品・音楽へのアドバイスをくださった杉原ともじ先生、子どもの頃からたくさんの愛情をくださり踊る事の楽しさや厳しさ、動きや感情を細やかに教えてくださる島田明美先生、その背中で、踊るという事、舞台に立つという事を教えてくださる島田美穂先生、素敵な衣裳を創ってくださった本柳里美・岩戸洋一両先生、ともに過ごすスタジオの仲間たち、そして最後に、私に踊りを与え応援し続けてくれる両親に感謝をし、これからも舞踊の道を一歩ずつ歩いていきたいと思います。
この度は、本当にありがとうございました。

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Update:2017/02/21  

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